牛田智大の幻想曲に鳥肌!解釈をさぐる〜第18回ショパンコンクール1次予選

2次予選牛田インタビュー ショパンコンクール

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↓2次予選の記事できました

21歳とお若い牛田さん、わたしがずっと前に日本に一時帰国したときテレビで偶然みかたときは「CDデビューは2012年で、その前年の東日本大震災から大きな影響を受けた」「大切な人と過ごす時間を大切にしたい」って言って「愛の夢」を演奏してました。「に、日本にも、こんな神童が〜〜!」ってびっくり感動したのは忘れません。それ以来、今回の一次予選で初めて一つのプログラムを続けて聞いたんだけど、その演奏が衝撃すぎて。。あの時から今までいったいどんな勉強してきたのかなって気になって気になって眠れない!ので調べてみました。

牛田智大 プロフィール

Wikipedia:牛田智大より

1999年10月16日生まれ 福島県いわき市出身

生後間もなく父親の転勤により、家族と共に上海に転居する。 小学校入学時に帰国のため愛知県名古屋市に転居し、名古屋市立笹島小学校を卒業した。1歳の頃から電子ピアノをおもちゃ代わりのように遊んでいたが、3歳の時に郎朗やユンディ・リの演奏を収録したDVDを鑑賞して夢中になり、本格的にピアノを始める。幼稚園の時に父親からピアニストになる目標に対して一度は反対されたが、「自分の人生なので、自分で決めさせて欲しい」と父親を説得した。

  • 2012年3月、日本人クラシックピアニストとしては史上最年少の12歳でユニバーサルクラシックスより、デビューアルバム『愛の夢』を発表し人気を得る。
  • 2012年7月、東京オペラシティにおいてデビューリサイタルを行う。以後、日本各地で精力的にコンサートを行っている。当初リサイタルではプーランクの曲と中国の作曲家、汪立三の曲を気に入り必ず演奏していた。
  • 2013年9月からはショパンとリストの作品を中心にリサイタルを行う。
  • 2014年、自身初となる海外アーティスト(シュテファン・ウラダー指揮、ウィーン・カンマー・オーケストラ)と共演。
  • 2015年にはミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団との日本公演を行う。
  • 2018年にはヤツェク・カスプシク指揮 ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 との日本公演を行う。

また作曲も行い、2012年秋に国立新美術館で開催された「リヒテンシュタイン展」のテーマ曲を担当した。

受賞歴

  • 2005年 – 第2回上海市琴童幼儿鋼琴電視大賽 年中の部第1位
  • 2008年 – 第9回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 小学1,2年生部門 金賞第一位
  • 2009年 – 第10回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトA部門 金賞第1位(大会部門史上最年少)
  • 2009年 – 横浜開港150周年記念コンクール」小学生部門 第1位・特別賞
  • 2010年 – 第11回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 小学3,4年生部門 金賞第1位
  • 2010年 – 第2回ヤングピアニストコンクールC部門 第1位
  • 2011年 – 第12回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトB部門 金賞第一位(大会部門史上最年少)
  • 2012年 – 第13回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトC部門 金賞第一位(大会部門史上最年少)
  • 2012年 2月 – 第16回浜松国際ピアノアカデミーコンクール 第1位(史上最年少)
  • 2018年 11月 – 第10回 浜松国際ピアノコンクール 第2位、聴衆賞、ワルシャワ市長賞
  • 2019年 3月 – 第29回 (2018年度)出光音楽賞

牛田智大 一次予選

演奏 YAMAHA CFX

下にあるプログラムの時間のリンクをクリックするとその曲から聴けます

 

17.30 – 18.00 TOMOHARU USHIDA (Japonia / Japan) https://chopin2020.pl/en/competitors/…

  • Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 (45:40)
  • Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 (51:55)
  • Etude in C minor, Op. 10 No. 12 (54:23)
  • Fantasy in F minor, Op. 49 (57:30)

ノクターンの最初の音から、なにが違うんだろ〜と気になって。全部わたしがこれまで知ってる曲となんか違う。。もうファンタジーに至っては「こんな曲だったっけ?!」と鳥肌〜

これは演奏だけど、お話です。牛田さんの作ったお話やメッセージが音を通して見えてくる。ピアノを演奏するときよく「情景を思い浮かべて」とか言うけど、こんなにストーリーが目の前に広がったのは初めてです!!と言いながら例を出しますが。。この感じは以前キーシンのリサイタルで演奏を聴いたときに似てます。当時友達に「キーシンは演奏を練りに練ってくるから1年間同じプログラムで世界中ツアーする」と聞き、なるほど演奏が深いわけだと納得したのを覚えてます。なんか牛田さんも同じ感じがする。

もう、こんなすごい演奏する牛田さんの解釈知りたい!って思って。できるだけご本人の言葉がいいなと思いあちこちインタビューを探して見てみました。

牛田智大過去のインタビューから

いろいろな記事で演奏について具体的にお話されてましたが、今回は2020年1月の「トリトン・アーツ・ネットワークアーティストインタビュー」の記事から一部引用してまとめてみます。

師事している先生

ここ最近のコロナ世の中でのレッスンがどんな感じか分かりませんが、以下の3人の先生方と定期的にレッスンしてるようです。

ブロニスワヴァ・カヴァラ先生:「ポーランドで[ショパンの新校訂版全集を編纂した]エキエル先生のお弟子さんで助手も長くしていた。定期的にレッスンを受けている」

アルチョム・アガジャーノフ先生:「作曲家の先生。15歳から数年間、古典派のソナタやロシアの代表的な作品を集中的に学んだ」

江口文子先生:「昭和音楽大学附属ピアノアートアカデミーの先生。技術を安定させ、音楽的なことにより集中できるようにテクニックの見直しをしている」

楽譜を学ぶ

「最初は楽譜に忠実になることに抵抗していた。→楽譜通りに弾いたらみんな同じになってつまらないと思っていた。そこでアガジャーノフ先生が”君は楽譜をただの記号の羅列だと勘違いしているけれど、そこに書かれているのは彼らが思い描いた音楽のごく一部であり、神から与えられた音のごくわずかな破片なんだ”と言ったのを聞いて現代の記譜法には限界があり、頭の中の音楽を視覚化した楽譜は作曲家の思いの一部だと気づいた」

私の感想ですが、このお話を聞いて、自分の頭にあるものを人に伝える手段として楽譜があるけれど、思った通りに伝わるとは限らない。だからそれをどう理解するのか、楽譜を見て演奏する側が考えることが「解釈」なんだなと改めて思いました。実際生きてる人同士が面と向かって喋ってても「そんなつもりで言ったんじゃないのに、誤解されちゃった。勘違いされちゃった」という事があるわけだから、こちらから問いかけるわけにいかない楽譜に弾き方が何通りもあるのは当然な気がしてきました。もしかして違う理解から全く別の結果になってしまうかもしれないし。。そして牛田さんがこう言ってます↓

「だからこそ深い意味があって、ときに指示が矛盾することもあれば不完全な楽譜が出来上がることもある。それらをどう理解し聴き手に伝えるかということはもしかしたら作曲家自身もわからなかったかもしれない。その答えのない問いに人生をかけるのが演奏家だと教わりました。今ではその考え方を心から尊敬しています」

牛田さんは15歳の頃は楽譜をアレンジして演奏したりしていて、「今聴けば真っ青になる」とも話してますが、「アイディアを極限までためして、楽譜から離れてやりたいことをやりきったからこそ、いま楽譜通りに弾くことの面白さが分かる」とも。確かに。。納得しないまま先生に言われたからするというのではなく、回り道からも得るものがありますね。

先生の役割

牛田さんが「昔は正解が先生にあって、先生の言うことがすべて。これが正しいのかな、正しくないのかな‥‥と先生の反応を見ながらレッスンが進んでいくところがあった」と言ってますが、これって楽器を習っている人は誰でも経験あるのでは。そして先生が変わって違うこと言われると困っちゃったり‥

そして牛田さん、「自分でちゃんと楽譜を読むようになると、”楽譜はこうも読めるのでは”というような疑問をちゃんと持って、議論ができる」「一言一言に振り回されすぎず、違ったアプローチもあるのだとみられるようになった」とのことですが、モスクワの先生方がその時まで「待ってくれた」そうです。

あちこちへ自由に行ってしまう若者に幅を持たせながらもなんとな〜く正しい方向に導いてくれる先生方、ステキです!

「楽譜や作品を学ぶことの深さを知って最近は特に学ぶことが楽しくなった」と言ってる牛田さんが、あの鳥肌っ!の演奏をした幻想曲をどんな解釈で弾いたのか、とても気になります!

幻想曲 牛田さんのストーリー

1次予選で演奏した幻想曲について、バックグラウンドや当時のワルシャワの状況をショパンがどのように受け止めたのかについて、牛田さんが自身の考えをTwitterでシェアしてくれてます。

このツイートの前にも幻想曲について説明がありますが、最後に「暖かく穏やかなワルシャワが徐々に悲しみに染まり、多くの犠牲と深い絶望を経て再び希望を見出すまでの変遷を描きます」って。これが今回の演奏のお話ですね!

この演奏へのコメントでは多くの人が「涙した」とあったし、ポーランドの方か分かりませんが「彼はワルシャワの悲劇に寄り添って演奏し涙してくれている」というコメントも見かけました。わたしも演奏聞いてて涙が出てきてふっと画面を見たら牛田さんも涙してる?!!牛田さんが描いてくれた景色が確かに世界中のオーディエンスに伝わったと思います。音楽ってホントに国境越えるな〜。

牛田智大 ショパンコンクール前のインタビュー

2次予選牛田インタビュー
XVIII Chopin Competition Competitors

XVIII Chopin Competition CompetitorsTomoharu Ushida – Interview

↑こちらは3分20秒フルインタビューのバージョン。質問に答えるという形式で行われていますが、その中の「もしショパンに会うことができたら聞きたいことはなんですか」という質問で「楽譜の中の矛盾した表記について解釈を聞いてみたい。例えばクライマックスへ向かうクレッシェンドのすぐ前にある小さなディミヌエンドにはどんな意味があるのかなど」そして「ピアニストにとって最も難しことは」という質問に対して「楽譜の指示通りに弾くことも大切だがもっとも大事なことはphilosophy 哲学、conception 概念、 structure 構成、の3つで、これらすべての情報を統合してパフォーマンスすることがとても難しい」と答えています。とにかく楽譜の意味を読んでショパンの意図に近づきたいという思いが伝わってきて、尊敬します。

まとめ

わたしが勝手に牛田さんのインタビューの一部を抜粋してまとめて良いのかなとも思ったけど、全部は長いし無理だし。でも演奏した曲に対して牛田さんが創ってきたものが何なのか、少しでも分かるヒントになればいいなと思って。なんか半分はわたしの感想のようになってしまいました。

今回の記事をきっかけに出場者のみなさんのインタビューを見始めて。見たのはまだ一部だけど、ホジャイノフさんの曲作りのアプローチが牛田さんに似てると思いました。ホジャイノフさんは「ショパンの曲を演奏するのに”Play 弾く”という言葉は軽すぎる。”Recreation 再現・再構築”という言葉を使いたい」といってて。やっぱり楽譜の後ろにあるショパンの思いに触れようとみんな一生懸命なんだなって感じました。

牛田さんの演奏に考えさせられて、ずっと考えて1次予選を聞いてからずいぶん時間が経ってしまったけど。牛田さんの勉強が深すぎて追いつくワケもなく、きりがないので今回はこの辺にしておきます。

牛田智大 2次予選

↓2次予選のようすはこちら。牛田さんのそれぞれの曲の解釈やショパンの矛盾に対するお話など。

↓ニコライ・ホジャイノフさん

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