ニコライ・ルガンスキー リサイタル 9月14日
2017年、香港フィルとの共演は実現したけどリサイタルはキャンセルになってしまったルガンスキー。今回が香港での初リサイタルです(敬称略)
建物の壁に垂れ幕バーン♡

公演情報→ Piano Recital by Nikolai Lugansky

会場:香港シティホール (香港大会堂)
会場はベンジャミン・グローヴナーの時以来、久しぶりのシティホール。↓行き方、座席表など詳しくはこちら
プログラム
↓盛りだくさん♡
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番「テンペスト」 ニ短調 Op.31-2
- シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化芝居「幻想的情景」 Op.26
- ワーグナー:ヴァルハラへの神々の入場(ブラッサン、ルガンスキー編)
- ワーグナー:魔の炎の音楽(ブラッサン編)
- ワーグナー:場面転換の音楽と終幕(ルガンスキー、コチシュ編)
- リスト:水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ(伝説 第2曲)S.175/R.17

アンコール
- Mendelssohn: “Songs Without Words, Op. 85, No. 4”,
- Chopin’s: “Fantaisie-impromptu in C-sharp minor, Op. 66”,
- Rachmaninov: “Prelude in C minor, Op. 23, No. 7”
- Rachmaninov:“12 Romances, Op. 21, No. 5, ‘Lilacs’”
clickforarts【魯根斯基鋼琴演奏會 Piano Recital by Nikolai Lugansky】
アルバム「ピアノによるワーグナー名場面集」
公演前日、偶然地上波で「エイリアン: コヴェナント」を放送してたので見ていたら、冒頭でデヴィッドがピアノでワーグナーを弾いてる。「ワーグナーのピアノ曲ってあるんだ〜」と思ってたらその時の曲「ヴァルハラへの神々の入場」が今日のルガンスキーのプログラムにも入ってる!え、え、どんな曲?ピアノ曲??ワーグナーの知識が全くない私。早速調べたのでまとめます
今日の後半では↓ルガンスキーのこのアルバム(2023年9月録音)から3曲が演奏されました
【収録情報】
ルガンスキー/ピアノによるワーグナー名場面集より
ワーグナー:
● 『ラインの黄金』~ヴァルハラへの神々の入場(ブラッサン、ルガンスキー編)
● 『ワルキューレ』~魔の炎の音楽(ブラッサン編)
● 『神々の黄昏』~ブリュンヒルデとジークフリートの愛の二重唱(ルガンスキー編)
● 『神々の黄昏』~ジークフリートのラインの旅(ルガンスキー編)
● 『神々の黄昏』~ジークフリートの葬送行進曲(ルガンスキー編)
● 『神々の黄昏』~ブリュンヒルデの告別の歌(ルガンスキー編)
● 『パルジファル』~場面転換の音楽と終幕(モットル、ルガンスキー、コチシュ編)
● 『トリスタンとイゾルデ』~イゾルデの愛の死(リスト編)
調べると、ワーグナーはピアノ曲も書いてます。でも今日の3曲は
- ラインの黄金:ヴァルハラへの神々の入場(ブラッサン、ルガンスキー編)
- ワルキューレ:魔の炎の音楽(ブラッサン編)
- パルジファル:場面転換の音楽と終幕(ルガンスキー、コチシュ編)
とプログラムにも有るようにワーグナーの楽劇のピアノ編曲。既存の編曲とルガンスキーが「既存の編曲を拡大した」ものもです。アルバムの解説にルガンスキーとワーグナーについて分かりやすくまとまっているので引用します
技術、音楽性ともに現在最高のピアニストのひとりニコライ・ルガンスキー。レコーディングに積極的でディスコグラフィも充実していますが、最新盤は驚きのワーグナー。とはいってもワーグナーのオリジナル・ピアノ曲ではなく、楽劇の名ナンバーをピアノで披露。
【発売】ルガンスキー/ピアノによるワーグナー名場面集 2023年12月20日 (水) 18:00 – HMV&BOOKS online – クラシックより抜粋
ワーグナー作品のピアノ編曲自体は各種存在しますが、複雑なスコアを10本の指に収めることや、ゆったりと流れる時間感覚など原曲の持ち味を保つのは難しく、ルガンスキーは既存の編曲を拡大したり、自らの版を手掛けての挑戦。聴きものは彼編曲による『神々の黄昏』からの4つの場面。20年以上前から構想しながら、レコーディングの数日前にようやく完成したというもの。単なるヴィルトゥオーゾ効果ではなく、善悪や富と愛についての哲学的深みを湛えた壮大なもので非常に感動的。ルガンスキー円熟の神業を見せてくれます。
ルガンスキーは大のワグネリアン、ことに『ローエングリン』以降の作には目がなく、アルバム実現が夢だったと語っています。実際ワーグナーの話をしだすと止まらず、CDブックレットでも熱いワーグナー愛を論じています(欧文)。
ルガンスキーが「ワーグナーのピアノ編曲の真の傑作」と賞するリストの『イゾルデの愛の死』が最後に披露されますが、オペラ原作を深く理解しているだけあり、数多い同曲録音中でも別格の説得力と凄みに圧倒されます。(輸入元情報)
なるほどなるほど。ルガンスキーはワーグナーラブ♡のワグネリアンだったんだ。そして今回は楽劇の音楽をピアノで。 思えばバイオリンの伴奏で協奏曲のオケパートをピアノ用にアレンジした楽譜とか見ると、オーケストラをピアノで上手く表現するのは大変そうってかんじるけど。それを考えただけでも今日のワーグナーは難しそう〜!上の解説で「複雑なスコアを10本の指に収めること‥は難しい」とあるのも納得。それなのに↓別の解説には
楽器を奏でられるなら、ワーグナーの壮大な楽劇の名旋律を演奏してみたいと思うのは自然だろう。リストは「トリスタンとイゾルデ」「タンホイザー」など多くのピアノ版を生み出したのは知られている。ただその中に「神々の黄昏」がない。ワーグナー好きのルガンスキーはこの作品を自ら編曲し、愛情を込めて演奏。ライトモチーフはもちろん、弦楽器の細かな動きまで完璧に指で表現。技巧を技巧として聴かせずあくまでワーグナーのサウンドとして耳に届くのが素晴らしい。ラインの夜明けの高揚感、迫力の低音が響く葬送行進曲、闇に光が差し込む自己犠牲と耳をとらえて離さない。最後のうねりにうねるリスト編“愛の死”も絶品。
ニコライ・ルガンスキー(Nikolai Lugansky)『ピアノによるワーグナー名場面集』弦楽器の細かな動きまで完璧に表現、深い愛情が込められた必聴盤 雨海秀和(タワーレコード渋谷店)より抜粋
「弦楽器の細かな動きまで完璧に指で表現‥あくまでワーグナーのサウンドとして耳に届く」だって!この辺りにルガンスキーのワーグナー愛を感じる〜。↓そして2024年11月に読売新聞がルガンスキーにインタビューした記事では
ピアノという楽器を離れて楽譜を深く読み込み、音楽の核心に迫る並外れた手腕は、最新録音「ピアノによるワーグナー名場面集」からもうかがえる。
「20年以上前からその壮大な音楽をピアノで表現することに取り組んできた。楽劇『ニーベルングの 指環 』については、第4部『神々の 黄昏 』の四つの場面を自分で編曲した」と話す。
「天才の台所に入り込み、その素材で料理を作るようなもの。こんなに楽しい作業はありません」
オーケストラを思わせる豊かな響きや、ストーリーや曲想の巧みな要約などは、作品世界の全体を見渡せる教養と知性があってこそ
ピアニストのニコライ・ルガンスキー…「ピアノの思索家」が奏でる豊かな調べ 読売新聞2024/11/15 17:00より抜粋
ってことで構想20年以上!!! 編曲についてご本人が「天才(ワーグナー)の台所に入り込み、その素材で料理を作るようなもの。こんなに楽しい作業はありません」と言ってるけど。それを楽しくできるルガンスキーが天才!いつか全部を生演奏で聴いてみたい!
演奏メモ

すごいリサイタルでした〜〜!
長身でリーチが長く手が大きいルガンスキー。そこから出てくる音楽はロシアン。パワーがすごい。(マツーエフのラフマニノフピアノ協奏曲聴いた時の衝撃が頭よぎった。あるピアノの先生が「ピアニストは鍵盤をひっぱたかないといけない時がある」と言ってたことあったけど、その時もマツーエフを思い出した)
どの曲も連続和音を軽々と演奏しているように見えるけど、低音が終始お腹に響いてくる映画館で爆音の時に振動する椅子に座ってるみたい。でも弱音は繊細で美しい。ベートーヴェンはイメージ通りに勇ましい。シューマンは。。「ブルース・リウならすごくオシャレに弾きそう」なんて思うんだけどルガンスキーはカッコいい。
そして後半のワーグナー。「えぇ〜!これ1台のピアノなのー??」って思うほどの音の量。←1台です。かてぃんじゃないからw ってゆーか本当にオーケストラだ〜。音で絵(舞台?)を描いてる。描いては消えて又次の絵が。。楽譜が超難しそうって思ってちょっと想像してみたけど全然ムリ〜〜!聴衆は皆さん前のめりになって釘付け。(今日は小さなお子さん少なめ。男性多めだったかな)1曲ごとに大きな拍手←せずにはいられない
そして最後はリストの伝説2。迫力と美しい歌が迫ってくる!
止まない拍手。アンコールは4曲。2曲目はショパンの幻想即興曲超マッハ版w だったけど低音こんなに響かせる力強い演奏初めて聴いた。カッコよくて惚れ惚れ〜
骨太な演奏、美しい歌&景色に圧倒されてルガンスキー満喫。やっぱりこの空気の振動体験はライブならでは。余韻がすごかった♡
又絶対来てほしい!お待ちしてます〜
ニコライ・ルガンスキー演奏動画
ベートーヴェン:テンペスト
リスト:伝説2
アルバム「ピアノによるワーグナー名場面集」
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